症状の急な悪化に対する考え方

  
<昨日まで調子がよかったのに、なぜ、急に痛みがぶりかえしたのか>
 
当院で治療を続けて、少しずつ症状も軽くなって、日常生活もある程度不自由なくできる様になり、痛みも少なくなって落ち着いていたのに、今朝から急にまた強い痛みが発生した、昨日の夜から腫れや熱感などの症状が元に戻ってしまった
このような問題が治療期間中に起こることがあります。 特に膝関節や股関節、腰痛の治療中あるいは、頚の痛みや手のしびれなどの治療中にこのような現象がよくみられます。
 
 
悪化が起こる原因には多くの理由が考えられますが、当院では主に次の3つの問題を重視しています。

 

1)体調あるいは、環境の変化。

2)患部に負担をかけるような無理をした。

3)特に原因が思い当たらないのに症状が悪くなった。

 

1)体調あるいは、環境の変化。

風邪、下痢、発熱などの感染による内科的な疾患の発生(多くがウイルスや細菌などによるもので、潜伏期にも身体は反応して悪化する場合もある。)は代表的な悪化要因になります。そのほかにも、血糖値や血圧、胃腸や呼吸器系、泌尿器系などの持病の急激な変化も、手足や関節の症状を悪化させることがあります。

 

また、女性の生理は、骨盤が開き、関節がゆるむ事によって、下肢や腰、頸などの症状に大きく影響をあたえます。それ以外に、精神的なストレスが強く発生した場合も、自律神経に影響をあたえ、特に不安や心配、恐怖や強い怒りなどでは、ノルアドレナリンの働きによって、血管が強く収縮させられるため、血液循環が不安定になり、痛みや症状の悪化の原因になります。
 
環境の変化に関しては、急な寒さや低気圧(大雨や寒冷前線、台風などが接近しているときなど)が、症状や痛みの変化の原因になることがあります。また春の木の芽時や秋口などの季節の変化は、身体に様々な影響を与えています。
 
引っ越しなどによる急な生活環境や動線の変化も、痛みや問題の悪化をもたらすことがあります。
 
最近では、熱中症の最初の段階やエアコンの影響によっても、手足の筋肉や関節、腰や頸の症状の悪化を惹き起こすことが認められています。

 

2)患部に負担をかけるような無理をした場合

症状が強いときには、控えていた様々な動作や作業も、症状が少し良くなるとついつい手を出してしまい、これが再び痛みや問題を元に戻してしまいます。

 

症状がきついときに残しておいた掃除や仕事、あるいは、少しぐらい痛くてもやらなければいけない介護や家事など、焦る気持ちはわかりますが、症状が軽くなったとは言え、まだ不安定な時期に元の動きをすぐに再開することは、当然悪化の原因になります。
元の生活に戻すためには、少しずつ時間をかけて、リハビリとして計画的に、作業量を徐々に増やしていくぐらいの慎重さが必要です。
 
それ以外にも荷物の運搬などにも注意するべきです。(極端に重いものは気を付けて避けていても、軽いわずかなものであっても数が多かったり、長い距離を持ち歩く場合などは、強い反応が出る場合があります。)

また、買い物などで、軽い鞄を持ちながら、歩いたり立ち止まったりすることを繰り返す動作も、一般的に考えられている以上に強い悪影響があります。

 
 
当然、不安定なこの時期の旅行やスポーツの再開、植木の世話なども、悪化の原因になるので注意が必要です。
 
外傷(けが)と転倒は、悪化要因として大変重要な問題です。たとえば足の指や足首のけがが、膝の症状や腰痛を一気に重症化させてしまうこともあります。また手先のけがが、頸の大きな病気の引き金になることもよくみられます。

 

 

 

特に転倒は、身体全体のバランスを変えることがあります。前に倒れて膝を打つ、後ろに倒れてしりもちを打つ、横に倒れる、それぞれに身体に残る影響力がちがいます。その倒れ方によって、特有のバランスの変化が残り、倒れて打ったり痛めたりした場所以外に、今治療中の患部に直接的、間接的に影響を与え、現在の症状をより複雑にし、治りにくくしてしまうことが多くあります。

 

 

当院で現在治療中の患者様が転倒されたときは、できるだけ早急に転倒時の詳細な情報を、担当の治療スタッフに伝えてくださるようお願いしています。先に書いたような転倒による複雑な悪影響を、できる限り残さないようにするためにも、速やかな転倒の状態の詳細な分析と、それに対応した適切な整復が必要になります。また、悪化の原因が筋肉疲労によるものであれば、原因から2~3日して症状があらわれるため、原因を考えるときには、注意が必要です。

 

なぜまた痛くなるのかその2へ続く・・・ (ここからが特に重要です)