冬の症状への備え |
冬は非常に身にこたえる季節です。日々の心労や疲労に加えて、寒さという刺激(温度変化という刺激)は常に身体への負担になってしまいます。それにより、家事や仕事などをいつもと同じようにこなしていても、冬のほうが痛みや症状が発生しやすくなってしまいます。寒さと疲労を我慢しながらの生活は、体内にストレスをため込んでしまい、冬には以下のような障害が増えるとされています。
思い当たる方も多いのではないでしょうか。最初は軽い症状でも、免疫力の低下などにより重い症状へ移行してしまいやすい時期です。寒い時期の備えとして、漢方などでも伝統的に用いられてきた養生法を、ぜひ体の力を抜くつもりでお試しください。そしてこの厳しい冬を健やかに、穏やかに乗り切りましょう。
防寒養生法
風邪は早く治すことよりも、完全に確実に治すようにしましょう |
昔から、「風邪は万病のもと」といわれています。肺炎や腎炎、脳膜炎などの重い病気の引き金になったり、肩や腰、膝などの急激な痛みや炎症あるいは、強い筋肉痛や神経痛なども、ひき起こします。この厄介な風邪の原因の大半は、ウィルスの感染によるものです。風邪を予防するために大切なことは、ウィルスから逃げ回ることより、ウィルスに感染しない抵抗力を、普段から身につけておくことです。
日頃、身体に無理や、不摂生を続けていたり、運動不足で身体をなまらせているのに、咳が出た、鼻水が出た、熱っぽいなどの症状が出たから、慌てて身体をいたわっても、そのときにはすでに、ウィルスは身体の中に侵入しています。風邪の症状が出てしまったときは、身体がウィルスに勝てるように、協力してあげることが大切です。
年末の大掃除は夏にする?
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四季のある、日本で暮らす我々の身体は、当然、四季の変化に大きな影響をうけながら、一年間を過ごしています。春から夏にかけては、身体が労働や運動に適した状態を作るために、汗腺を広げて、うまく熱を身体の外へ逃がすように変化し、冬は逆に、毛細血管を閉めて、身体の熱が外の寒さに奪われないように、予防します。このように冬は、筋肉や、手足の関節の周りの毛細血管が狭くなり、血の流れが減少するため、運動した後の疲労回復能力や、筋肉の耐久性が下がり、本当は、強い肉体労働には、あまり適さない時期なのです。
普段、十分な運動をしているならまだしも、リモコンスイッチや、全自動の機械にお世話になって、ほとんど運動らしい動きもしていない人達が、年末だから大掃除をしようと、急に換気扇を洗ったり、一度に家中の窓をふいたりと、はりきって用事を始める事で、急激な腰の痛みや、肩や膝の関節痛などを起こしてしまったり、その疲労の蓄積が、抵抗力を奪って、風邪に簡単にかかってしまったりします。
特に、姿勢が悪かったり、背中が少し曲がってきた人達や、圧迫骨折を以前発症した事のある女性の方は、強い痛みの症状が再発したり、筋力低下による圧迫骨折の再発などの危険性が高まる為、寒い時期の急な重労働は、絶対避けるべきです。
先にも述べた通り、春から夏にかけては活動時期で、様々な運動や用事がやりやすいように、身体が準備してくれています。年末の大掃除や、大量の用事は、本当は夏の活動時期に行うのが、身体にとって正しい方法です。(もちろん夏でもあまり無茶をすると、強い症状が発生する危険はあります。)
年末の寒い時期は、いつもの掃除と、玄関の片づけ位にしておきましょう。あまりがんばって用事をするのは、四季の自然の流れに合っていないという事を、知っておいて下さい。
季節の養生より抜粋
寒い季節の歩行について |
早朝や夜間は避けましょう
出来るだけ、日中の暖かい時間帯を選んで歩きましょう。
急な温度変化に注意しましょう
歩行以外でも外に出るときは、帽子やマフラー(タオルでも良い)、手袋などを使って急な冷えを防ぐようにして下さい。※首や頭部を暖める(加熱する)ことは、あまりおすすめ出来ませんが、暖かい室内からから外に出たときの急激な温度変化は、一瞬ですが頭頚部の血管を収縮させるため、身体に悪影響を与えることがあるので、この部分の充分な保温は大切です。また、指先や足部の冷えにも注意して対応して下さい。
寒いときの歩行は重ね着で!
薄手のウインドブレーカー(ナイロン製のジャンパー)などを重ね着して、歩行による体温の上昇に応じて、順に服を脱いでいくようにすると上手く調節できます。(脱いだ服はウエストポーチ等に入れること)また下半身も、出来るだけ冷たい風の侵入を防ぐために、ウールや綿のズボンの上にナイロン製のオーバーパンツなどを、重ねてはかれることをおすすめします。
冬は、どうしても身体が硬くなりがちで、最初から全力で歩くと、筋肉を傷めたり関節や内臓・血管に余計な負担をかけてしまいます。最初はゆっくり10分間、途中の20分間は自分にとって出来るだけ速いスピードで歩行し、最後10分ぐらいで徐々にペースを落とすようにします。これによってケガを防ぎ、また疲れや負担を次の日に持ちこさないようにすることが出来ます。