肩こりの原因について
 
<大切なこと>

1)肩凝りの原因は頚椎。頚椎の動きの左右差やその周辺を通る神経や血管の流れの以上によって、首や肩の周りの筋肉に強い緊張や肩凝り症状を作る。

 

2)肩凝りの原因はストレス。ストレスによる交感神経の緊張によって、脳に血液が集中する。同時にノルアドレナリンが分泌することで、血管収縮が起きて血流が悪くなり、僧帽筋に負担がかかり肩凝りが起る。

 

3)肩凝りの原因は眼の疲れ。パソコンやスマホ、ゲームなどによって眼から入力される光のエネルギーは、脳に大きな負担をかけ、2)の場合と同じく僧帽筋の緊張を作る。同時に姿勢の問題による筋肉の緊張も起こる。

 
 
 
 
 
 

 肩凝りの原因は頚椎

長く続くガンコな肩凝り。もんでも叩いても、ぬり薬や貼り薬を使っても良くならない。マッサージをしてもすぐに戻ってしまう。

 

このような持続する肩凝りの原因の多くは、頚椎のバランス異常にあります。特に、慢性的な強い筋肉の張りを伴う、頚や肩周辺の症状の場合は、一般的に頚腕症候群と言われる状態になっていることが多く、頚椎の下の部分から枝分かれして、手に下りていく神経の通り道に様々な問題が発生することによって、これらの症状を起こしてしまいます。(寝ちがいや、いわゆる五十肩は別の原因です。)

 

この問題は、レントゲンで確認できる場合と、骨に異常が無くてもその周りの部分に動きや機能の異常が起っている場合があり、レントゲンで異常がなかったとしても、安心はできません。

 

頚椎のバランス異常や、その周辺の故障によって神経の流れが障害されると、血流の調節や栄養補給、疲労回復機能がうまくいかなくなり、同じ作業をしていても、強い凝り感や筋肉の緊張が発生します。そのままこの頚椎バランス異常がひどくなると、手や指のマヒや筋委縮が起り、最終的に手術が必要になることもあります。

 

肩凝りを根本的に治していくためには、頚椎をうまく安定させる事が大変重要です。そして、その為には、その土台である骨盤や腰椎を安定させる事が必要です。そのうえで頚椎の問題を取り除き、神経の流れを正常に戻していくことが大切です。

 

例えば、鏡で自分の肩の高さがちがっていると感じている人や、集合写真や記念写真を撮る時に、頚が傾いていると注意される事が多い人は、特に長い間の姿勢全体の傾きが、頚椎に問題を発生させていると考えられます。骨盤や股関節を含めた、腰部の安定から根本的に立てなおして頚椎を正しい状態に戻していかないと、頚や肩周辺だけのマッサージや慰安的な治療だけでは一時的に症状がましになっても、結局何度も同じ症状を繰り返す事になります。

  

肩凝りの原因はストレス

もう一つガンコな肩凝りの原因として強いストレスがあります。普通人間は強いストレスを感じると、自律神経の交感神経が活性化し、血圧を上昇させ、大量の酸素を脳細胞に送ろうとするために、脳に血液が集中して脳圧が亢進します。

 

特に悲しい事や、つらい事、心配事などのストレスは、ノルアドレナリンによって血管が収縮するとともに、脳の下部にある海馬や扁桃体などをより興奮させ、これをコントロールする為に視床下部が脳内で生物学反応や熱に変換して対応します。

 

このように脳に集中した血流(最大で体循環血量の1/2と言われています。)や、熱反応物などは静脈の流れを通じて、心臓に戻されますが、強いストレスが長く続くとこの心臓への還流(血流を戻すこと)がうまくはかどらず、脳圧をうまくコントロールできなくなってしまいます。この時頚椎の後側を流れる静脈の大量の血管群が膨張するため、これが頚の後や後頭部のだるさや張り感の原因になります。

 

またこのまま静脈の還流のコントロールがうまくいかない状態が続くと、脳圧が上がり過ぎて脳血管障害を発生させたり、うつ熱による脳の損傷の危険性も高まるため、矯正的に頚のうしろの静脈群を絞って血液を心臓に戻すポンプとして、僧帽筋が強く働きます。この筋肉は、後頭部の後ろから背中にかけて広がる筋肉で、いわゆる肩凝りの筋肉としてよく知られており、この筋肉が疲労し硬くなることで、頚の後から肩の上や背中の強い凝り感を発生させます。

 

すなわちストレスは脳圧を高め、頚のうしろや後頭部の張り感やだるさ・つまり感を起こし、これを解消するための僧帽筋の積極的な働きが、結果的に強い肩凝りを発生させる原因となっているのです。

 

ちなみに、血圧を上昇させて脳圧が亢進していく過程では、血管が拡張するために起る拡張性の頭痛(主に扁頭痛)また、あまりに僧帽筋が強く疲労すると後頭部の僧帽筋の付着部で緊張性の頭痛が発生します。このようにストレスは肩凝りと共に頭痛の大きな原因にもなっています。

 

 

 

 肩凝りの原因は眼の疲れ

先に書いたようなストレスと肩凝りの関係は、パソコンやゲーム、スマホなどのように目から入力される過剰な刺激によっても同じことが起ります。

 

 

 

数年前、ポケモンのテレビを見ていた全国の子供達が、番組の中の刺激の強いちらつき画面を熱心に見つめていたために気分が悪くなったり失神したりした事件があった事を憶えておられる方も多いと思います。あの場合、強いちらつく光を眼から入力する事で、特に子供達は脳圧を処理する能力が不十分な為に脳内がオーバーヒートを起こし、
熱性ケイレンやてんかん発作などと同じような状態になってしまったと考えられます。

 

このように眼から入る強い刺激は神経の中でも特に太い視神経を通じて、大量の情報を一気に脳の奥の部分に送るため、脳の奥の部分(中脳や視床)などに大きな影響を与える事になります。大人の場合1回の番組を見る位ではそんなに強い影響をうける事はありませんが、毎日のパソコンを使った仕事の中で、液晶画面を凝視し続ける事やゲームを何時間も集中してやり続ける事によって、脳内に徐々に刺激ストレスが蓄積し、最終的にコントロールしきれない脳内亢進が起きて肩凝りや頭痛或いは、一般的に知恵熱と言われるような、不明熱の原因を作る事になってしまいます。

 

 
このようなタイプの肩凝りを防ぐためには、できればこれらの原因を減らす事が必要ですがどうしても避けられない場合は、後に述べるようなこの問題に対する毎日の対処が必要になります。

 

その他にも、内科的な問題から発生する肩凝りや、歯科診療が原因の肩凝りなど、肩凝りと言われる症状には様々な原因がありますが、私たちが対応できる肩凝りとしては、主に上の三種類の原因が中心になります。そしてこの三種類の原因が肩凝りの大半を占めていると考えています。