日本人の特徴について考える② |
日本人は、その食生活から特徴的に腸が長く、そのために胸郭(肋骨のかご)と骨盤が離れていて、それぞれが西洋人に比べて小さいという特徴があります。
このため白人の人達が多いオリンピックの組織では、沈んだような泳ぎを禁止したり、潜水できる時間を短くするようなルール改正が、頻繁に行われてきました。スキーのジャンプ競技などでも、身長の低い日本人にとっては不利なルール改正が度々おこなわれているようです。
日本人にとっては何とも理不尽な、納得できないルール改正ですが、しかしそのこととは別に、この問題も、人種による骨格の違いがあるための現象だと考えられます。
また骨盤に関しても先ほど述べたように、西洋人の骨盤と日本人の骨盤では、大きさや深さに大きな違いがあり、特に出産に置いてその違いが顕著に表れています。
西洋の人達の出産は、大きく深い骨盤によって、「少し緩むだけで」産道が確保されて出産が可能になります。それにくらべて日本人の出産は、小さく浅い骨盤によって産道を確保するためには、仙腸関節や恥骨結合などの「連結部分を大きく破壊する」ことで、初めて出産が可能になるのです。そのために、この破壊した骨盤が元に戻るために、10日以上の入院や、産後の腹帯、4週間から6週間の安静が必要だったのです。
この妊娠、出産に関して、日本独特の「産婆学」が発達していったのも、積み重ねられた経験から生まれた、人種の違いを克服する素晴らしい日本人の知恵だったと考えられます。(詳しくは、症状についての考え方、産後の骨盤管理の項を参照)
この人種の違いは、寝具の形にも表れています。日本人が、西洋の貴族のようなふかふかのベッドに寝ると、この離れた胸郭と骨盤がバラバラに沈み込むことによって、腰がせりあがるような格好になり、腰痛を起こす原因にもなってしまいます。西洋人の場合は逆に、胸郭と骨盤が近いために、一体に沈み込むことによって、腰椎周辺に強いストレスがかかる事は少なく、ふかふかの柔らかいベッドでも、大きな問題が起る事はほとんどありません。
しかし日本人は、残念ながらあまり豪華なやわらかいベッドは、ふさわしくないのかもしれません。やはり日本人は、骨格の特徴から、畳の上に布団を敷いて寝るのが一番合っていたと思われます。
但し、今の畳は、本当の畳とは違い、畳表に包まれたその中身は発泡スチロールで、最近の住宅やマンションなどでは、畳の下はコンクリートなどという事も珍しくありません。昔のように弾力性のある板を使った畳床の上に、藁(わら)でできた畳が置かれていたことによって、日本人に合った適度な弾力を保っていたと考えると、今の畳による就寝は、日本人の身体に本当に良い事かどうか悩んでしまいます。むしろ現代では、日本人に合った、薄めの、少し硬いベッドマットを探す方が、本当は正しいのかもしれません。
以前、日本人は「緊張民族」だと言われていたこと思い出します。
実際、まじめで、ルールをきちんと守る国民性からも、そういわれるのは当然だと思いますが、個々の骨格系の違いによる問題も、考えておかなければいけません。西洋の人達は、胸郭と骨盤が近いその身体の特徴によって、力を入れなくてもある程度良い姿勢が保てます。リラックスしていても背筋を伸ばしておくことができるのです。
しかし、前述のように日本人は、胸郭と骨盤の間が広く開いているため、腹筋や背筋などの筋肉にしっかり力を入れておかないと、良い姿勢を保つことができません。そのために常に筋肉を緊張させておくことが必要だったのです。
そして高齢になり、筋肉を常に緊張しておくことが難しくなってくると、良い姿勢を保つために、和装による帯や腹帯の助けを借りる文化が根付いてきたのだと思われます。このように、その国における特徴的な文化や服装の違いは、人種の違いによる骨格や姿勢の違いが、大きく影響していると思います。